完全再使用型宇宙輸送機
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完全再使用型宇宙輸送機
完全再使用型宇宙輸送機(spaceplane)とはロケットとは違い、飛行機のように翼を持った水平離陸・水平着陸(HTOL)の宇宙まで飛行できる宇宙輸送機(ロケットエンジンを搭裁した輸送機)で、パイロットが操縦し、メンテナンスと燃料を入れることで、何度も繰り返し飛ぶことのできる新しい宇宙時代の乗りものです。完全再使用型宇宙輪送機(spaceplane)が宇宙旅行を実現する重要なカギのひとつになります。
宇宙輸送機は空、海、陸などと同様に宇宙への輸送手段であるのにかかわらず、現在の宇宙輸送の手段は、いつまでも古いパラダイムに基づく使い捨てロケットによるもので、航空機、船舶、車など他の通常の輸送手段とは異質なものとなっています。これからの新しい宇宙時代は、通常の輸送手段と同様になっていかなければなりません。そもそも他の輸送手段にはない”使い捨てや再使用”という言葉が必要になっていることがおかしいのです。現在の宇宙輸送手段の使い捨てロケットは、本来であれば必要のないロケットを使い捨てているために、非常に無駄が多く打ち上げ費用が高額になっている原因です。それにもかかわらず、誰もおかしいとは思いません。これは古いパラダイムが正しいと思われているためです。これからは、このおかしいパラダイムを変えていかなければなりません。使い捨てロケットを使うことは打ち上げ費用以外でも非常にデメリットが多く、新しい宇宙輸送手段である完全再使用型宇宙輪送機(spaceplane)には多くのメリットがあります。
使い捨てロケット 完全再使用型宇宙輪送機 (spaceplane)
用途 人工衛星などを運ぶために造られている(人を運ぶためには造られていない) 人を運ぶことを目的に造られる
輸送費用 高額(100億円)
使い捨てのためロケットの製造費が全て無駄超低価格(現在の100分の 1 以下)
メンテナンスと燃料費のみ
安全性 非常に危険(緊急対応不可) 航空機レベルの安全性を確保
負担 打ち上げ環境が厳しい
過酷な訓練が必要使い捨てロケットよりは緩い
特別な訓練は不要
パイロット なし(緊急対応不可) あり(緊急対応可能)
頻度 1回きり 何度も使用可能
信頼性 地上試験のみの実証で、一度きりの使用なので経験の蓄積が少なく総合的な信頼性の向上は厳しい テストフライトや繰り返しの飛行によって多くの経験が蓄積でき、改善でるので総合的な信頼性は向上する
輸送量(人) 多くて数人程度 一度に多くの乗客を運べる
SPACEPLANEの開発
spaceplane の開発の歴史は古く、半世紀以上前からになります。1950年代ごろからロケットエンジンを搭載した飛行機であるrocketplane (ロケット飛行機) が開発されましたが、これは軍事用戦闘機としてジェット戦闘機よりも高高度・高速度飛行を目指して開発されました。ドイツのMe163やイギリスのSR.53や日本の秋水など世界中でrocketplane が開発・計画され、1960年代にはrocketplane の技術をべースに、宇宙まで飛行できるようにしたspaceplaneが開発され、イギリスのSR.53やアメリカのX-15などは宇宙まで届くsuborbital spaceplaneとしての能力がありました。その後、欧州の主要な航空宇宙機メーカでorbital spaceplane の研究と実現性検討が実施され、この時代(1960年代)の航空機や使い捨てロケットの既存技術を使って実現が可能であると結論づけられました。
X-15やorbital spaceplane研究結果をアドバンテージに、1970年代にNASAで宇宙輸送費を大幅に安くする完全再使用型宇宙輪送機の本格的な研究が実施され、様々な案が検討されました。そのひとつが後のスペースシャトルになります。スペースシャトルは当初は1960 年代のorbital spaceplane 研究をべースに設計され、大型の完全再使用型の宇宙輸送機の開発を目指していましたが、冷戦の圧カとアポロ計画により予算が大幅にカットされたため当初の目標は断念せざるを得ませんでした。その結果、NASAは大型(大量輸送)を優先して完全再使用型をあきらめることを選択し、ほとんど使い捨ての部分的な再使用しかできないスペースシャトルが開発されました。結果として、開発の最初の日的である宇宙輸送費のコストダウンの観点で、それまでの使い捨てロケットより高額になり失敗に終わりました。
このようにNASAは大型の部分再使用型のスペースシャトルを開発してしまい、この選択のミスがorbital Spaceplaneの開発が今まで実現できていない大きな原因です。もしも、完全再使用型の優先を選択していたら、今頃、私たちは宇宙に行けるようになっていたことでしょう。近年は民間で2004年にANSARI X-PRIZEを獲得したSpaceShip-1がsuborbital飛行を成功させています。その後、様々な民間企業がsuborbital機の開発をすすめていますが、XLINER SPACEPLANE PROJECTは唯一のorbital spaceplane開発プロジェクトです。