PROJECT

XLINER設計コンセプト

XLINERの基本設計コンセプトは欧米で主要な航空機メーカで実施された1960年代のorbital spaceplane 実現性検討結果のひとつであるEuropean Aerospace Transporter の設計をべースにアップデートしたものです。プロジェクトのコンセプトである、「段階的開発」「既存技術の流用」に加えて以下の設計コンセプトがあります。

パイロット操縦の有翼の水平離着陸 (HTOL) 機
ミサイルのような使い捨てロケットのように激しい打ち上げでなく、航空機のように、翼をもち、空港の滑走路よりジェットエンジンを使用して静かに水平に離陸し、ジェットエンジンとロケットエンジンを使って段階的に加速して宇宙に飛行し、帰還時もジェットエンジンを使用して水平に滑走路に着陸します。パイロットによって操縦され、翼をもち、ジェットエンジンを搭載しているため自由に飛行することができるので非常時にも迅速に対応が可能であり、安全な飛行が可能になります。ロケットのような垂直離着陸 (VTOL) 機やパラシュートやパイロットのいない無人口ケットなどと比べて安全面で非常に優れています。

CARRIERとORBITERの二段式 (2STAGE)構成
orbital spaceplane として宇宙に運ぶために必要な推進力を得るために、単段式の開発は最初の開発としてはリスクも高く技術的にも難しいと考えています(将来的には単段式になっていくでしょう)。European Aerospace Transporterの設計に基づき、orbital機開発で最も重要なPropellant mass fraction(推進剤質量分率)の問題を解決するため、推進力や重量を分散させ二段式にすることで、効率的にorbiterが必要な推進力を得ることができます。XLINER はcarrier(lower-stage)とorbiter(upper-stage)の2段式(2stge)構成とし、carrierで地球周回軌道を飛行するorbiterを搭載して分離位置まで運び、超音速(supersonic)の分離速度まで加速し、高高度でorbiterを分離して、orbiter のロケットエンジンによって更に加速して宇宙に向けて飛行し、carrierは分離した後に地上に帰還します。なお、suborbital spaceplane のASCENDERは各stageのべース機として開発されるので単段式になります。

超音速(supersonic)、高高度での分離
orbiterが地球周回軌道を飛行するために必要な速度(7.8km/sec、Mach25相当)を効率的に得るために、技術的に比較的簡単であるcarrierにより超音速、高高度での分離を実現することで、より大きな推進力が必要で技術的に高度なorbiterの負担を滅らすことが重要と考えています。分離速度が高速であれば、orbiterが追加で必要な加速の負担が軽減されます。また、なるべく空気の薄い高高度で分離することにより空気抵抗を減らすことで効率的に推力を得ることができます。ブーストフェーズでの加速にはジェットエンジンに加えてロケットエンジンを使用して分離速度まで加速します。速度の観点では分離速度は極音速(hypersonic)以上のできるだけ速い方が良いのですが、その場合、高速での分離リスクやcarrierに必要な技術もかなり高度になり、エンジンなどの新規技術開発が必要になり、既存技術を流用するXLINER としては、その点も考慮して、Mach3~5程度の超音速(supersonic)がバランスの良い分離速度と考えています。

PROJECT LOADMAP

DESIGN LOGIC

XLINERの開発は段階的開発であり、各段階で開発した機体(要素技術)を次段階の開発に反映させていきます。