既存技術の流用による早期実現
- HOME
- 既存技術流用による早期実現
既存技術流用による早期実現
プロジェクト全体を通して「既存技術流用による早期実現」を設計方針として開発を行います。このプロジェクトは宇宙旅行の早期実現が重要事項であり、なるべく早くspaceplaneを開発し、サービスを提供することを目標にしています。そのために確実な方法による開発と新規技術の開発リスクを最小限にして、時間とコストのリスクを低減するため実証された既存技術を積極的に流用します。そして、テストフライトなど実際の飛行による実証や改善の作業を特に重視し、早期のライセンス取得を目指します。テストフライトやライセンス取得などの実証を重要視する考え方はロケット開発などの宇宙開発とは全く異なり、現在の航空機の開発と同じアプローチです。これらの設計方針により約15年でorbital spaceplaneを開発することを目標にします。
SUBORBITAL SPACEPLANE(ASCENDER)
まずは、spaceplaneの基礎技術としてsuborbital機のASCENDERの開発を行います。suborbital機の技術は半世紀以上前の1960年代にイギリスのSR.53やアメリカのX-15プロジェクトで既に実現性が実証されています。ASCENDER は主にSR.53をベースに開発し、機体はスペースシャトルのorbiterをスケールダウンしたような形状で小型ビジネスジェット機くらいのサイズです。熱防御システムはスペースシャトルの設計をべースにします。スペースシャトルに比べてASCENDERの再突入時の熱環境の影響はさらに小さく新しい技術は不要です。そして新しいエンジンを開発せずに、既存のジェットエンジンとロケットエンジンを使用します。その他、ナビゲーション装置、自動パイロット、通信装置、電力装置、飛行制御袋置、ランディングギアなどは現在の航空機の技術を改良して開発します。開発期間はプロトタイプの開発に4年、その後、3年程度のテストフライトによりデータ取得と改善、改良を行いライセンスを取得してSuborbital宇宙旅行サービスを開始します。ASCENDERはorbital spaceplaneのべース機となる重要な機体となり、新しい宇宙パラダイムシフト(開発方法、ビジネスモデル、運航方法など)のベースが確立されます。そして、次の開発ステップも同様の考え方に基づき開発が進められていきます。なお、ASCENDER開発の前段階として、demonstrator機のMICROSONICを開発し、基礎技術を実証して実現性を示し、リスク低減と投資喚起のプロモーション活動を行います。MICROSONICは既存のビジネスジェットに既存の小型ロケットエンジンを搭載して開発するので低リスクで短期間で比較的簡単に開発することができます。
ORBITAL SPACEPLANE(SPACECAB,SPACEBUS)
orbital spaceplaneのSPACECABは2stageの小型8人乗りのspaceplaneでlower-stage(carrier)とupper-stage (orbiter)の2つの機体で構成されます。orbiterを宇宙まで運ぶcarrierはASCENDERをべースに大型化し、宇宙を周回飛行するorbiterはASCENDERをorbital用にエンジンをパワーアップ、高性能化して開発します。SPACECABの設計思想は1960年代に欧米で実施されたspaceplaneの実現性検討・研究の検討のひとつであるEuropean Aerospace Transporterの設計をべースにアップデートしたもので、既存エンジンや材料など1960年代当時の技術で実現可能であることが示されています。SPACECABは約8年で開発することを計画し、orbital宇宙旅行サービスの提供に当たってはASCENDER同様にテストフライトによる実証とライセンス取得を重要視します。
SPACEBUSは大型50人の乗りのorbital spaceplaneでSPACECABを大型で長寿命化したものになります。SPACEBUSは本格的で成熟された新しい時代の宇宙輸送の手段になるので、超低価格宇宙輸送を実現する必要があり、既存技術では対応できないので、長寿命で運用コスト(燃料)の安い新しいエンジンを開発する必要があります。SPACEBUSは約15年での開発を目標にしています。